満足度98%以上!利用者アンケート結果から見るEM導入前後の実態とお客様の声
こんにちは。Editorial Manager®(以下EM)クライアントサポートの笠井です。
「暑さも寒さも彼岸まで」と言いますが、秋分を過ぎた今もまだまだ暑い日が続きますね。私は暑さが苦手なので、冬の到来がとても待ち遠しいです。ちなみに、塩分・水分補給ができる一番好きな飲み物はソルティライチです。
この度、EM利用中の事務局様や編集委員の先生方へEM利用についてのアンケートを実施し、123件の回答をいただきました。ご回答いただきました皆様、誠にありがとうございました。
本記事では、実施の背景とアンケート結果についてご報告します。
※記事内の一部グラフは、Googleフォームにより自動作成されたものを使用しています。
【アンケート結果のサマリ】
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アンケート実施の背景
私たちEMクライアントサポートは、ジャーナルの価値向上を目指し、実績と経験を活かしてお客様と共にジャーナル編集を一歩先へ進めることを目指しています。この度のアンケートは、よりお客様に寄り添ったご提案や必要な情報のご提供ができるよう、ニーズやご状況の把握を目的として実施しました。
以下でご報告するアンケートの結果といただいた貴重なご意見をもとに、今後のサポート体制やサービスを検討し、皆様により便利にEMをご活用いただけるよう尽力いたします。
アンケート結果の概要
- 回答期間:2024年7月30日~2024年8月30日
- 主な対象:EM利用中の事務局様、編集委員の先生方
- 回答数:123件 ※同一ジャーナルからの複数回答あり
和文誌:56件(45.5%)、英文誌:38件(30.9%)、和英混合誌:29件(23.6%)
アンケート結果の詳細
EM導入を検討したきっかけ、決め手について
まずは、導入検討をスタートしたきっかけと、導入の決め手について伺いました。
EM導入検討のきっかけ
回答の上位3つはこちらです。
- 進捗管理、作業負担の増大、引き継ぎなど、運営に対する課題を感じていた
- 審査が滞ることが多く時間がかかっていた
- 学協会内で要望があがった
選択肢以外では、「前システムのサービス終了」「郵便でのやり取りが煩雑だった」といった回答もありました。従来の運用に対し、上記やセキュリティ・保守面での課題を感じ、導入検討をスタートされた学会様が多い印象です。他にも、オンラインジャーナル化や学会誌創刊のタイミングで導入された学協会様もいらっしゃいました。
EM導入の決め手
一方で、決め手についてはこちらの2つが上位の回答となりました。
- 国内外の関連学会で導入されていた / EMを使ったことがある先生が多かった
- 世界中で利用されており安心感がある
EMは、全世界で9,200誌以上、日本国内でも290誌以上で導入されている、世界で最も使われているオンライン投稿審査システムです(記事執筆時点)。研究者の皆様にとって馴染みのあるシステムであることが分かる結果となりました。また、EMの強みでもある柔軟なカスタマイズ性や充実したサポート体制が決め手となり、選んでいただいた学協会様も多いようです。
EMを利用した全体の感想について
次に、EM導入後の状況について伺いました。
EM導入後の総合的な満足度
全体としては、合計98%以上が「非常に満足」「満足」との回答でした。
多くの皆様の編集業務負担を軽減するお力添えができ、とても嬉しく思います。
今後、100%のお客様に「EMを導入してよかった」と思っていただけるよう、お客様からのお声をしっかりと受け止め、さらなるサービス向上に努めます。
項目ごとのEM導入前後での変化
続いて、以下の項目についてEM導入前後での変化を伺いました。
- 編集事務局の作業負担
- 投稿者からの問い合わせ対応
- 審査日数の短縮
- 進捗管理のしやすさ
- 査読者の見つけやすさ / 依頼のしやすさ
- 投稿者や査読者へのリマインドのしやすさ
その結果、下記3項目については改善が見られた学協会様が多いという結果になりました。
- 編集事務局の作業負担
- 進捗管理のしやすさ
- 投稿者や査読者へのリマインドのしやすさ
先日のアップデートでは、査読ステータスレポートや投稿ごとの編集者宛自動リマインダ送信機能、著者へ返却後動きがない新規投稿の自動取り下げ機能などが追加されました。今後、よりスムーズな進捗管理やリマインド、編集事務局の作業負担軽減に貢献します。
一方で、エンドユーザからの問い合わせ数に課題を感じているという回答もいただきました。課題点や背景はEMの利用年数や審査フローによっても異なるため、より詳細に分析して今後の改善につなげます。
EMでは直感的に操作ができるシステムを目指し、機能に限らずUI/UXについてもアップデートを多面的に、そして継続的に行っています。今後、EMのカスタマイズ提案や、エンドユーザが参照できるEM操作マニュアルの内容・ご提供体制の見直しを図るとともに、皆様からのご意見を反映しながら改善を重ね、さらに使いやすく便利なシステムに進化を続けていく予定です。
近年お客様からのご相談が増えている課題について
【論文の剽窃検知】【査読者の選定】【ORCID情報との連携】の3点については、現在の課題感を伺いました。
論文の剽窃検知、二重投稿
文部科学省が示した「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」でも【科学への信頼を致命的に傷つける】【研究者倫理に反する行為】と明記されている剽窃や二重投稿。こちらは半数近くが「どう対策すればよいか分からない」という結果となりました。
様々な言語の膨大な学術資料が存在する今の時代、全ての文献をチェックすることは現実的ではなく、剽窃は検知が難しいのが現状です。また、引用の不備等により意図せずに剽窃となってしまうケースも発生し得ます。
EMは、目視チェックだけでは限界がある剽窃の検知に役立つ機能として、Crossrefが提供している剽窃検知サービス「Similarity Check」と連携しています。新規・修正投稿時等に自動でチェックする設定も可能です。システムを活用することで、負担軽減や見落としのリスク低減に貢献します。
機能の詳細や操作画面のイメージは、こちらのブログ記事をご覧ください。
剽窃防止に!Similarity Check機能のご紹介
また、同じEMサイト上の投稿との類似性をパーセンテージで示す「二重投稿チェック」機能も利用できます。悪意のある二重投稿だけではなく、間違えて同じ論文を2回提出した場合や、修正投稿を誤って新規投稿として提出した場合の検知に役立ちますので、利用を希望する場合はEMクライアントサポートまでご連絡ください。
査読者の選定
査読者の選定においては、特に以下の課題を感じている学協会様が多いことが分かりました。
- 特定の人に負担が偏ってしまう
- 査読依頼を断られてしまうことが多く、審査に時間がかかる
- 論文の内容に適した専門性を持つ人を見つけることが難しい
査読打診時、EMでは候補者が最後に査読をした日時や対応中の投稿数が表示されるため、各査読者の状況を見たうえで打診先を選択することができます。また、査読打診を断られた場合、別の候補者に自動的に査読を打診する機能もあります。
それでも、査読者リストの人数自体が少なかったり、専門性が偏ったりしていると、どうしても一部の査読者への負担が増大したり審査が滞ったりしてしまいます。そんな時に便利な機能が、EMとScopusのデータベースと連携して査読候補者の検索や査読打診ができる「Find Reviewers」です。新しい機能ですが、すでにご利用いただいている学協会様からは、「とても使いやすく,助かっております」「レベルの高い査読者選出が可能で,とても重宝しております」といった嬉しいお声をいただいており、査読選定時の課題の解決に大きく貢献する機能となっています。
機能の詳細や操作画面のイメージは、こちらのブログ記事をご覧ください。
【新機能】Find Reviewers using Scopusのご紹介
ORCID情報との連携
EMとORCIDの連携においては、活用場面のイメージが湧かなかったり、EMと連携しているユーザが少なかったりといった課題が見られました。ORCIDの認知度や利用率は、分野による差異もありそうですね。
ORCID iDを取得することで、以下のようなメリットがあります。
- 同姓同名の研究者と区別できる
研究者ごとに一意のORCID iDが付与されるため、自身の実績を正しく紐づけることができます。 - 研究実績を一元的に管理できる
システムによっては、実績の自動更新も可能です。さらに、ORCIDのメンバーシップ加入団体であれば、情報ソースに機関名を表示して情報の信頼性をさらに高めることができます。 - 所属機関にかかわらず研究実績を蓄積できる
所属機関が変わってもORCID iDは変わらないため、永続的に実績データを残しておくことが可能です。また、以前のメールアドレスをORCIDアカウントと紐づけておくことで、所属が変わっても連絡を取ることができ、過去の研究成果を起点とする研究機会の損失を防ぐことにもつながります。
さらに、EMとORCIDを連携すると、ORCID iDを使ってEMにログインできるようになります。ユーザから事務局宛に「ログインができない」というお問い合わせが来ることもあるかと思いますが、連携することで、ユーザのログイン情報を管理する手間や、事務局の問い合わせ対応のお手数の削減にもつながります。
EMとORCIDの連携についてはこちらのブログ記事でも紹介していますので、ぜひご一読ください。
Editorial Manager®外部連携サービスのご紹介!パート2!
ジャーナルの取り組みについて
最後に、EMに限らずジャーナル全体の取り組み状況を伺いました。
今後の取り組みの優先度・近年の投稿数の推移
今後の取り組みについては、特に「投稿数の増加」「アクセス数の向上」を優先度高く対応予定の学協会様が多いことが分かりました。投稿数の推移を見ると、直近の投稿数に大きな変化がないジャーナルが最も多く、次いで「増加傾向」「減少傾向」が同率となっています。
具体的に検討したり取り組んだりしている内容としては、学術大会からジャーナルへの誘導やJ-STAGEからの情報発信の強化、オープンアクセス化、Web of ScienceのESCI(Emerging Sources Citation Index)やDOAJ(Directory of Open Access Journals)への収載を目指す、等が挙げられました。
DOAJについては、弊社が運営しているこちらのブログで詳しく紹介しています。「DOAJってなに?」と思った方や、申請の流れにご興味がある方はぜひご一読ください。
DOAJについてご存じですか?
ジャーナルの公開方法
ジャーナルは、回答いただいた学協会様の9割以上がJ-STAGEで公開していることが分かりました。
J-STAGEで論文を公開するメリットについては、こちらのブログ記事でも紹介しています。公開先を検討中の方やJ-STAGEについて知りたい方は、ぜひご覧ください。
J-STAGE公開のメリット~投稿審査のその後~
おわりに
改めて、アンケートにご協力いただきました皆様、誠にありがとうございました。
弊社では、EMの他にも、J-STAGEジャーナル公開支援サービス、会員管理システムや学術大会支援システムなど、学協会様向けのサービスを扱っています。ジャーナル編集に限らず、総合的に学協会の皆様の作業負担を軽減し、研究者が研究に専念できる世界を実現するためのサポートをさせていただきます。
今後も、皆さまに必要な情報をお届けできるよう役立つ情報を発信していきます。それでは、次回の更新もお楽しみにお待ちください。